他の著作は文庫化するのかな待ち遠しいんですけど
夢や希望、絆とか明るい未来なんて言葉を言われると、身構えてしまう。基本的にそういった陽性の語句ばかり出てくるような小説は読まないし、現実では、嘘でも口から言いたくはない。雪舟えま『地球の恋人たちの朝食』(上・下)では、そんな遠いところにある言葉たちが頻出する。きらきらしてて、愛がいっぱいで。
でも、かわいい。とにもかくにも、かわいい、という言葉がぴったりくる。たとえるなら、我々の住んでいる地球がもういっこあって、そっちの地球ではこどもとおとなが逆転してて、こっちの地球のこどもに向けるかわいいねえを、同じようにおとなに向けてかわいいねえと言っているかのような。
地球と言っても、べつの惑星の話だからこんなに平気。拒否反応はない。愛とか夢とか言われても。なんて、現実的に考えると、やはり文体かな、と思う。
雪舟えまさんが書くから。だから。つまり、これを読んで優しい気持ちになったりとか、そういうのは、ぜんぜんない。