さなぎのなかみ

思うこと諸々。

車窓からの景色

招き猫を見る。どこにでもいる量産品であろうそれを、二度見てしまう理由はどこにあるのだろう。右手に大判を抱え、左手で福を招いている、猫。つぶさに観察していると、左手が歪なことに気付く。若干、無理をしているのだ。関節の可動域からして、無理な体勢では無い筈なのに、大判が重いのか、パースが狂っているような感じを与えてくる。そんなことでは、招かれざる客ばかり来てしまうよ、と呟いてみる。

 

クマを見る。ケーキ屋の前のベンチに、クマのぬいぐるみが置いてある。待ち客のお相手用なのか、神妙に鎮座ましましている。3時間くらいのち、またケーキ屋の前を通る。客が来なくて畏まっているのに疲れたのか、クマはベンチの上でだらりと寝そべっていた。

 

コアラを見る。個人商店のような構えの店に、客寄せとして置かれているそれは、正確にはコアラなのかもわからない。くすんだ灰色をしていて、すらっとした手足を持った四足獣なのだが、顔に特徴的な鼻があるためにコアラをイメージさせる。たまに前を通る時に、ちらと一瞬見る程度なので、細部を確認する暇はない。

客寄せとして置いてあるなら、それは正しい判断なのか疑問に思わないこともない。『リンダキューブ』に出てきそうなかたちをしているのだ。

初めて店の前に出てきたときは、素寒貧の生まれたままの姿であった。客引きの使命は未だ与えられていない状態。なんだろう、あの生物は、と思った。

二度目見た時から、華々しく着飾られるようになった。肩からたすきを掛けられて、全体が綺麗なお花で彩られていた。相変わらず、何の生物かはわからなかった。

雨の日に、一度通った。コアラはいなかった。てっきり雨曝しにでもなってでもいるのかと、失礼な想像をしていた。持ち主には、愛されているのだろう。次に会えるのは、いつだろうか。