さなぎのなかみ

鬱々とした日々のこと。

ミミック

真っ赤な林檎の中身が黄色くて衝撃を受けた記憶はない。

 

何が入っているでしょーか、と差し出された卵を振って確かめた憶えもない。

 

見るものすべてが新鮮だった時期の、早く世界に適応しようと、とにかく目につくものを覚えなければいけなかった頃の、数あるうちのひとつとして埋没してしまった記憶。

 

思い出せないだけなのか、「そういうもの」として刻みこむしか時間がなかったのか、わからない。

 

たとえば果物なんて、一回限りではあるけれど、ドキドキわくわくの宝庫だと思うんだけど。