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さなぎのなかみ

思うこと諸々。

掌握

ベッドに寝転んで、天井を見上げる。ボーッとして、何も考えない。一面真っ白な壁紙で、そんなに新しいわけでもないのに、シミ一つ見つからない。電球と、火災報知器、そこだけ飛び出ている。かさいほうちき、と声に出して呟いてみる。あ、と思う。

 

視線を少し下げ、壁に向ける。白い壁紙を覆うように立ち並ぶ本棚、ラック。壁にかかったスーツ、喪服。どれもこれも、知っているものだ。あれ、と指をさされたら、これは、とちゃんと名前を言える。

 

起き上がり部屋を見渡してみる。机、財布、ボールペン。リュック、ベルト、洗濯バサミ。うん、どれも言える。この部屋に、知らないものはない。ぜんぶ、名付けられ、管理下に置かれている。

 

突如、部屋の中央に、なんだかよくわからないものが出現したらどうしよう。そんなことを考えてみる。一目見てわからなくて、角度を変えてもわからなくて、いくら調べても、誰に聞いてもわからない。不安だ。きっと不安になるだろう。ただいまと帰ってくるたびに、得体のしれないものに相対峙しなければならない生活。落ち着かない。

 

出先で、早く家に帰りたい、と思う。そんな時は、知らず安心を求めているのかもしれない。わからないものは面白いけれど、そればかりでは疲れてしまう。そういうことだろうか。