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さなぎのなかみ

思うこと諸々。

雑記

剥製

昔ながらの旅館は入り口に剥製の置いてあることが多い。羽を広げた鷲や雉や山猫やら様々だ。同じ地球上に位置し同じ空間を共有しているのに剥製の纏う空気とこちらの纏う空気には確たる違いがある。ガラスケース一枚隔てただけでこんなにも違う。いくら見つ…

ベストタイミング

翻訳モノを初めて読んだときに感じた、薄皮一枚隔てたような、ヴェールの向こう側を読んでいるような感覚はもう、とうに忘れてしまった。翻訳されたという一プロセスを経てのちでは、慣れ親しんだ日本語でもすんなり入っては来ないのかと思ったもの。 ボルヘ…

全てのカラスは黒くない

ヘンペルのカラスとは一切関係ない。白いカラスを見た、という話。 太陽高いお昼時、一本道を歩いていると、空から黒い物体が下降してくるのが見えた。たぶんカラスだろう、とさして注視もせずにいたら、瞬間、まっしろに変貌した。そこだけ、ネガポジ反転。…

車窓からの景色

招き猫を見る。どこにでもいる量産品であろうそれを、二度見てしまう理由はどこにあるのだろう。右手に大判を抱え、左手で福を招いている、猫。つぶさに観察していると、左手が歪なことに気付く。若干、無理をしているのだ。関節の可動域からして、無理な体…

ミミック

真っ赤な林檎の中身が黄色くて衝撃を受けた記憶はない。 何が入っているでしょーか、と差し出された卵を振って確かめた憶えもない。 見るものすべてが新鮮だった時期の、早く世界に適応しようと、とにかく目につくものを覚えなければいけなかった頃の、数あ…

脳にふれる(物理)

のうみそ、のうみそ、街角のパン屋さんで使われているような、茶色い紙袋の口をすぼめ、つき出してくる。手を入れろ、ということらしい。 中の物体に触れると、指先の皮膚が一枚の板切れになってしまったかのような冷たさに、身がすくむ。握りつぶさないよう…

視線の向かう先

小雨が降ってくる。軒先に立ち空を見上げる。薄墨色の空は本降りになることを予感させる。傘は持っていない。止むのを待つか走って帰るか決めかねている。家まではまだ距離がある。ひさし、あるね。隣から声がする。伸ばさないのかな。何のことだろう。同じ…

掌握

ベッドに寝転んで、天井を見上げる。ボーッとして、何も考えない。一面真っ白な壁紙で、そんなに新しいわけでもないのに、シミ一つ見つからない。電球と、火災報知器、そこだけ飛び出ている。かさいほうちき、と声に出して呟いてみる。あ、と思う。 視線を少…

蝿の王国

オートロックの付いていない、昔からあるマンション。階段を昇っていくと、虫の死骸があたりに散らばっている。夏が近づくにつれ格段に数が増えるそれは、ほとんどが、黒く、小さい。蝿だ。一階から五階まで、満遍なく落ちているため、誰かが撒いているのか…

失われた電池を求めて

今、何時だろう、ふと顔を上げてみる。リビングの壁に掛かった大きめの時計、針が指し示す時刻は8時35分。そんな筈はない。ご婦人宅にお邪魔したのは正午過ぎ、未だ2時間も経っていない気がするが。ケータイで確認する。16時。正確な時間が分かってホッとす…

固形じかけのオレンジ

小学生の頃の手作り石鹸。夏休みの自由研究か何か。 緑色の石鹸を作ろう、そう思い立ち、キッチンの棚を漁った。丁度使いかけの抹茶粉末があったので、それを使うことにした。白と緑のマーブル模様になるだろう。出来上がりのイメージはできていた。 作業を…

オープンセサミ

パスワードを忘れて困っている人に、「開けゴマ」で開きますよ、と助言してあげたところ、そんな古い呪文よく知っているね、と言われた。 開けゴマの出典元はかの有名なアラビアン・ナイトの「アリババと40人の盗賊」であり、民間伝承やらの類と同じく、遥…

鏡の法則ってそれマジックミラーだよ

人が何を信じていようがいまいが他人に迷惑をかけない限りは自由だと思っている。しかし思想の押し付けとなるのなら、こちらにも反論の準備がある。 今更感はあるけど、鏡の法則とは簡単に言うと、相手は自分を写す鏡であり、良いことをすれば良いこととして…

知らない映画を知らないまま

ふとかすかな記憶がよみがえった。小さいころ、タイトルも内容も知らない映画を観せられそうになったことがある。視聴覚室での上映とかの学校行事ではなく、映画館で一般上映されている映画だ。 親は家族全員を連れて行こうとした。どこからその情報を仕入れ…